カリブ海諸国は、スペインによる植民地化によってその様相を一変させました。フロンブスがマルコ・ポーロの伝えるジパングと勘違いしたことから、「インディオ」と呼ばれる原住民を過酷な金鉱発掘の強制労働に駆り立てたことが原因となって、インディオの人口が激減したのです。それまでインディオは、キャッサバを主体としてインゲン豆、唐辛子、魚、蛇、果物などを自然採集する生活だった為に、強制労働するに絶える体力がなかったためだと言われています。そうして労働人口が減ると、さらなるインディオ狩りが行われ、同時に熱帯での労働に向くアフリカからの黒人奴隷が輸入されるようになりました。しばらくの間、黄金を乗せたスペイン船でカリフ海は賑わいますが、17世紀を過ぎると、イギリスの支配に変わります。そして、熱帯の気候を利用した大規模なサトウキビ農場ができ、さらに多くの黒人奴隷がつれてこられました。そしてアメリカの「カリブ海政策」。現在のジャマイカの「食」はそんな歴史を背負っています。
ジャマイカを始めカリブ諸国で使われる食物は、植民地支配と、様々な国から貿易船が行き来したことで持ち込まれたものが多くみられます。カリブ料理の特徴的なスパイスであるクローブやナツメグは、ヨーロッパによるスパイス戦争の末、モルッカ諸島から持ち込まれました。今では重要な作物となっているバナナやココナツ、特産のラム酒の原料でもあるサトウキビも東洋原産です。また「ブルーマウンテン」で有名なコーヒーはアフリカ原産です。ジャマイカの朝食には欠かせない「アキー&ソルトフィッシュ」に使われるアキーや、主食として食べられているヤムイモは、奴隷として西アフリカからつれてこられた黒人が持ち込んだものだろうといわれています。「アキー&ソルトフィッシュ」のソルトフィッシュは干しダラを使うことが多いのですが、これはポルトガル人がもたらしたものだといわれ、ジャマイカに見られるインドの食文化の影響は、また、イギリス領であった頃、英連邦の一員だったインド人がもたらしたものだろうといわれています。
食べ物から感じられることは、「おいしい」や「変わってる」だけではありません。今ではもう消されてしまったインディオと原生の自然、「奴隷」時代を引きずるジャマイカのことも感じて下さい。